2000 7/22

third day

 

電から降りると、そこは初めて来る辺鄙な田舎町だった。

相変わらず太陽は狂った様に燃え盛り、二人の首の後ろを焼き付けた。

 

Kは相変わらず口を開かなかった、Kは元来が無口な性格であったが、

それにしてもその日のKはいつもとは明らかに違っていた。

 

 

「もう少し歩いたらバスが有るから、それに乗って山に行こう」

沈黙を突然Kが破った。

 

「ああ、だけどここらで昼飯にしようぜ、こんなに腹が空っぽじゃ、

山なんてとてもじゃないけど登れないぜ」僕は苦笑いして答えた。

「そうだな、じゃあそこのモスバーガーで昼飯を取ろうか」少し考えた後にKが答えた。

 

こんな辺鄙な田舎にもモスバーガーがある事に驚いた。

店は昼なのに空いていいたから、待たずに食べることができた。

 

俺はハンバーガー2個とオレンジジュースのLを注文して、

KはモスバーガーとサラダのLとウーロン茶を注文していた。

Kはまるで作業をこなす様に黙々と食べていた。

 

 

「それにしても今日は異常な暑さだよな」

 

「確かに暑いね、でも山に入ればいくぶんか涼しくなると思うよ」

Kは少し笑いながら答えた。

 

「喉が渇いて仕方ないよ、店を出たら自販機で何か飲まないと干乾びちゃうぜ」

苦笑しながら答えた。

 

「全くもって」Kも苦笑いしながら答えた。

 

「ところで、山に何しにいくんだ?」

 

「登りに行くんだよ」Kは当然の事の様に答えた。

 

「やれやれ、よりによってこんな暑い日に登山とはね。暑くて暑くてたまらんよ。」

 

「まぁ、山って言ったってそんなに高い山じゃないし、

実際はそんなに疲れないと思うよ」Kはなだめるように言った。

 

 

あらためて考えてみても、Kと自分と田舎の山との

関連性みたいなものは分からなかった。

 

Kのことだから、そもそも山に登ること自体が単なる

思いつきで理由なんてないのかもしれない。

Kは何か行動を起こす時に、その行動に何かの意義や

理由を求めることはほとんど無い。

 

たとえば、彼の趣味の一人旅がその最たる物だ、

彼は旅をする時には写真を撮ってくるわけではないし、

名所巡りをする訳でもない。

ただひたすら目的もなく歩き回るだけである。

 

僕はKのそんな性格を思い出し僕たちと山との

因果関係に頭を巡らすのを止めた。

 

「ここがバス停だよ」Kが突然の沈黙を破った。

いかにも田舎町のバス停といった格好で、バス停に

貼り付けられたバスの時刻表の紙も黄色く日焼けし変色していた。

 

 

「次のバスが来るまでにあと一時間もあるじゃないか」

僕はバス停の時刻表の部分を軽く手の甲で叩いた。

 

ただでさえ一時間は長いのに、あと一時間もこの

灼熱の中で待たなきゃいけないと考えると眩暈がしてくる。

 

「しょうがないからどっかの店で暇を潰そう」

Kはそう言ったが、このバス停の近くに適当に

入れる店なんてどこにもなかった。

 

「まさかあのみかんの直営所で時間を潰せって言うんじゃないよな」

俺は顔を歪ませながらそう答えた。

 

「はは、取りあえず喉が渇いたから何か自販機で何か買おう」

自販機はバス停のすぐ側に備え付けてあった。

 

「これだけバスの待ち時間が長いんだから、

この自販機は随分儲かってるんだろうね」

実際その自販機のジュースは新製品がズラっと並んでいた。

 

ガコンガコン叩き付けられたようにアルミの鈍い音が自販機に響いた。

僕は500ミリリットル缶のウーロン茶を一気に飲み干すと、

二本目のアクエリアスにとりかかった。

 

バス停に備え付けられたベンチで、少し休んでると右の方からバスが視界に入ってきた。